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2021.08.10
遺産分割手続〜不動産の分割〜
亡くなられた方が不動産を所有していた場合、その不動産も相続財産となります。預貯金に比べ、不動産の遺産分割はやや複雑になっております。
不動産の分割には様々な方法がありますが、よく見られる方法が、(1)1人の相続人が単独で取得する、(2)売却して金銭を分割する、(3)複数の相続人で共有するというものです。
故人の自宅など、相続人が現状でも居住している場合は、(1)のように、居住している相続人が取得するケースが多いようです。このケースでは、その不動産以外に財産がない場合、他の相続人の法定相続分に応じて、不動産を取得した相続人が代償金と呼ばれる金銭を支払うことがあります。
どの相続人も不動産を取得する希望がない場合などは、売却して代金を分割する方法を検討します。ただ、必ずしも希望の金額で売れるとは限りません。都市部の住宅地であれば売却は比較的用意ですが、農地や山林など、売却そのものが難しい場合もあります。
複数の方が居住しているときは、相続財産である不動産を共有する場合もあります。遺産分割をしないで不動産の登記を変更する場合は、法定相続に応じて共有する登記をすることになります。
また、不動産にローンがある場合などは、債務を誰が返済するか等についても協議する必要が生じてきます。
不動産の分割は複雑なケースが多いので、早めに弁護士にご相談いただくと良いと思います。
2021.07.27
遺産分割手続〜預貯金の解約〜
我が国の法制度では、遺産を相続人に分けるために、遺産分割という手続が必要になります。相続人の間で揉めていなくとも、遺産の分割という手続をしなければなりません。
多くのケースで遺産となるのは、金融機関の預貯金です。
預貯金の名義人が亡くなった場合は、遺産分割手続を行い、預貯金を誰が取得するかを明らかにした上で、解約や払戻の手続を行う必要があります。
具体的な手続は金融機関によって異なるものの、おおむね金融機関の用意した書面に相続人全員が署名し、実印を押印して、印鑑証明書や戸籍等の必要書類を提出するという方法で解約・払戻の手続を行っています。最近は新型コロナウィルス感染防止の観点から、全て郵送で手続を行う金融機関も増えてきました。
これまで、遺産分割の手続が終わるまでは、相続人が単独で金融機関から払戻を受けることはできませんでしたが、民法の改正により、令和元年7月1日からは一定額については単独で相続人が単独で払戻しをすることが可能になりました。
もっとも、全ての預貯金を解約するには、相続人全員が署名・押印する書面を用意するか、裁判所の調停調書や審判書が必要になります。
相続人同士で揉めてなくとも、必要書類が多かったり、手続が大変だったりするため、専門家に依頼する方も少なくありません。専門家に依頼した方が安心、という方もいらっしゃると思います。
ただ、相続人の間で揉めているケースでは、弁護士でなければ代理人となることはできません。弊所では、揉めていないケースのみならず、当事者間で揉めているケースでも遺産分割に対応させていただいております。
相続手続の必要がありましたら、お気軽にご相談いただければと存じます。
2021.07.13
遺産の調査
遺産分割は、亡くなった方の遺産を相続人間で分ける手続です。
そのため、分割する遺産の範囲を明らかにしなければなりません。
遺産として分割の対象となる財産には、預貯金、不動産、株式などの金融商品、自動車、貴金属などの動産など、さまざまなものがあります。
このうち、不動産や預貯金については、所在や金融機関が判明すれば比較的容易に調査をすることができます。他方、貴金属などの動産は、特定することが難しい場合があり、相続財産に該当することを立証できない場合もあります。
実務でも、貴金属などの動産は、事実上「形見分け」をしたこととし、遺産として扱わないケースも少なくありません。
預貯金についても、相続時(亡くなった方の死亡時)の金額より、分割をする時の金額が少なくなっていることもあります。そのような時、どの時点の金額を遺産の対象とするかについて、争われることもあります。
なお、亡くなった被相続人が相続人の一人を生命保険金の受取人に指定した場合、その相続人が受け取った保険金は、遺産分割の対象になりません。
相続の手続を行うには、遺産の内容を把握することが不可欠です。
「遺産の範囲がよくわからない」という方は、お気軽にご相談いただければと存じます。
2021.06.28
相続人の調査
遺産分割の手続は、大きく2つに分かれます。
裁判所を介する手続と裁判所を介さない手続です。
いずれの手続でも、誰が相続人かという「相続人の範囲」と分割の対象となる遺産は何かという「遺産の範囲」を明らかにする必要があります。
遺産分割は相続人全員の合意によって行われます。
そのため、相続人全員と連絡が取れなければ、合意による分割はできません。
裁判所における手続には、必ずしも合意がなくとも分割ができる場合もありますが、相続人全員が当事者として、裁判所の手続に参加できる状況になければなりません。
もし相続人の中に意思能力がない方いれば、成年後見人を付けなければなりませんし、行方不明者がいれば不在者財産管理人という人を選任する必要があります。
被相続人に子がいない場合、兄弟や兄弟の子が相続人になることが多いと思います。相続人の数が増えると、連絡の取れない相続人が生じる可能性が高くなり、個人ですすめることが難しくなる場合もあります。
相続人がわからない、相続人と連絡が取れないという方は、お気軽にご相談いただければと存じます。
相続の相談はこちらから
2021.06.14
弁護士と相続事件
高齢化が進行する我が国においては、多くの業種が相続分野に参入しています。
従来は、税理士・司法書士・行政書士等の士業や、信託を扱う金融機関が中心でしたが、近年では不動産業なども参入してきたと言われています。また、さまざまな業種でチームを組み対応する、というケースも増えてきました。
弁護士においても、相続を扱う事務所は少なくありません。ただ、弁護士とそれ以外の業種とは決定的に違い要素があります。
それは、「紛争になった場合に関与できるのは弁護士のみ」という点です。
法律上の紛争の代理業務を弁護士以外の者が行うことは、法律上禁止されています。そのため、遺産分割や遺留分侵害などで、相続人同士が揉めた場合、その解決を依頼することができるのは弁護士に対してのみなのです。
他方、遺言書の作成や、争いのない遺産分割などは、弁護士以外の業種でも行うことができます。もちろん、弁護士に依頼することも可能です。かつては弁護士に依頼すると費用が高額になると言われていましたが、近年では必ずしもそうとはいえなくなりました。
もっとも、税務申告が中心であれば、税理士に依頼した方が良いですし、登記関係が中心であれば司法書士に依頼した方が良いでしょう。紛争は弁護士に依頼せざるを得ないのですが、そうでない場合は何を目的とするかを考えてから依頼する業種を選んだ方が良いと思います。
弊所は予防法務を得意としますので、相続においても、紛争の発生を避けるための提案をさせていただきます。もちろん、紛争発生後においても大丈夫ですので、お気軽にご相談いただければと存じます。
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