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2022年06月
2022.06.29
調停による遺産分割 その3〜調停の進行〜
家庭裁判所による調停の手続は、調停委員が各当事者から話を聞くことが中心になります。当事者が同時に調停委員に話をする方法(これを同席調停と呼んでいます)もありますが、対立している当事者同士が同じ部屋で話をすることは困難であるため、実際にはあまり使われておりません。
遺産分割調停では、①相続人の範囲→②分割の対象となる相続財産の範囲→③相続財産の評価→④寄与分・特別受益の有無→⑤具体的な分割方法の順番で話合いを進めることが多いのですが、具体的には裁判官と調停委員の裁量に委ねられています。
裁判所で調停を行う日(調停期日といいます)は、おおむね1ヶ月から2ヶ月に1回程度のペースで指定されます。解決までの期間は、事案の内容によって様々で、数回の期日で調停が成立(または不成立)になるケースもあれば、2年以上かかるケースもあります。
近年、民事訴訟では、Webを使っての裁判手続が導入されました。家庭裁判所においても、Webによる調停手続の運用実験を行っているようです。設備や人員の問題もあるので、Webによる調停が実現するにはまだ時間がかかるのかもしれません。
2022.06.10
調停による遺産分割 その2〜調停の申立〜
遺産分割調停は、裁判所での遺産分割調停を希望する相続人が、家庭裁判所に調停申立書を提出することによって始まります。調停申立書を提出した方を、「申立人」と呼びます。
調停申立書には、申立人の氏名や住所、亡くなった被相続人の情報、申立人以外の相続人(調停手続では「相手方」と表現されます)の情報、相続財産の情報のほかに、遺言書の有無などを記載されます。また、戸籍や住民票、登記簿謄本などの添付資料の提出も必要になります(詳細は裁判所のホームページで確認することができます)。
調停の申立は、遺産分割調停を希望する相続人本人でもできます。ただ、代理して申立をすることができるのは、弁護士のみです。弁護士以外の者が代理人となることはできません。
調停の申立が受理され、裁判所内での手続(裁判所内部での配点や、調停委員の選任など)を経ると、第1回の調停期日が決められ、呼出状が相手方に送られます。
相手方には、申立内容について回答を求める書面が送られます。第1回調停期日までに裁判所に提出するよう求められますが、間に合わなくても第1回調停期日が開催されます(その場合は調停委員から質問されることになります)。
第1回調停期日においては、申立人と相手方双方が調停を行う部屋に呼ばれ、調停の手続について説明を受けます。本来は同席で行うべきですが、感情の対立などから、別々に呼んで説明をすることも少なくありません。
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