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相続放棄
2022.07.12
相続分の放棄と相続放棄
家庭裁判所における遺産分割調停・審判において、相続人は自身の相続分を放棄することができます。相続分を放棄すると、その相続人は遺産分割調停において、当事者としての地位を失うことになります。
この相続「分」の放棄は、相続放棄とは異なる制度です。一番の違いは、相続人の債務を受け継ぐか否かという点。相続放棄をすると、相続人の債務から免れることができますが、相続分の放棄は相続人の債務には影響せず、そのまま債務を受け継ぐことになります。
また、相続放棄は期間制限があり、家庭裁判所への「相続の放棄の申述」という手続が必要となります。相続分の放棄は、調停・審判の手続中であれば特に期間制限はなく、別途の手続をする必要がない(相続分放棄届出書と印鑑証明書の提出のみで受け付けることが多い)ので、この点も違いがあります。
名称は似ていますが、相続人の債務を受け継ぐか否かという点で大きな違いが生じる制度。相続人としての地位を望まないのであれば、早めに相続放棄の手続をした方が良いと思います。
2022.01.12
債務と遺産分割
亡くなられた方に借金があった場合のように、債務を負担していた場合、相続にはどう影響するのでしょうか。
法律上、遺産分割とは亡くなられた方の財産を分割する手続であり、債務については遺産分割の対象にならないとされてます。相続人が、それぞれ法定相続分の範囲で、債務を負担することになります。
もっとも、相続人全員と、債権者が合意すれば、特定の相続人のみが債務を負担することができます。その場合は、債権者と交渉をしなければなりません。
よく見られるケースとしては、遺産分割が成立する前に、遺産である預貯金を引き出し、債務を弁済した後、残った遺産について分割をする、というものです。この場合、相続人全員が同意しなければ預貯金を引き出すことができない(例外もありますが)ので、注意が必要です。
遺産よりも債務の方が多い債務超過のケースでは、相続放棄の手続を取ることが多いでしょう。相続放棄は、相続の開始を知ってから3ヶ月間という短い期間制限があるので、注意が必要です。
ご自身が相続人となった場合は、できるだけ早く亡くなられた方の財産および債務を調査し、相続放棄をするか否かを判断した方が良いでしょう。