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2022年03月
2022.03.10
協議による遺産分割
協議による遺産分割
遺産分割の手続は、「裁判所での遺産分割」と「裁判所以外での遺産分割」があります。後者を「協議による遺産分割」と呼ぶこともあります。
協議による遺産分割は、相続人全員が遺産分割について協議し、分割内容に合意をすることで成立します。相続財産に不動産が含まれ、登記が必要な場合などは、遺産分割協議書を作成する必要がありますが、そうでない場合は作成しないこともあります。
ただ、協議書を作成しない場合でも、預貯金を解約する際は、分割の結果を所定の用紙に記載し、相続人全員の実印と印鑑証明が必要となる場合がほとんどですので、協議の結果が書面化されると思います。
遺産分割協議書に押印される印鑑は、実印である場合がほとんどです。登記等の手続において実印での協議書が必要になるためです。
そのため、印鑑登録をしていない場合は、実印の登録が必要になります。
協議による遺産分割については、弁護士以外にも、行政書士や司法書士など、さまざまな士業の方が関わっています。ただ、弁護士以外の士業の方の場合、相続人同士が対立していないことが条件です。協議による場合でも、相続人同士が対立している場合は、弁護士でなければ代理人になることができないので、ご注意をいただければと思います。
2022.03.02
法事にかかる費用の分担
お葬式以外にも、さまざまな法事(法要)があります。
どれだけ頻繁に法事を行うかは、地域やそれぞれの家庭によって差があると思います。
ところで、将来の法事の費用について、遺産分割で決めることはできるのでしょうか。
まず、相続人同士の合意によって、法事の費用の負担を決めることができます。もっとも、いつ、どの法事を、どの規模で行うかという詳細な内容で合意することは少なく、「相続人の一人が一切を取り仕切ることを条件に、費用もその者が負担する」といった内容での抽象的な決め方になることが多いでしょう。
合意がない場合はどうなるでしょうか。法律上、祭祀承継という制度があります。これは、位牌やお墓などの祭祀財産と呼ばれる物を承継する者を決める手続きです。祭祀の承継者が決まらない場合は、申立により家庭裁判所が決定する場合もあります。
しかし、祭祀承継者は、祭祀財産を受け継ぐという意味に留まり、法要を主催する義務があるわけではありません。そのため、将来の法事に必要な費用の分担者を裁判所が一方的に決めることはできないということになります。
以上のように、法事の費用分担は、相続人の合意がベースになっています。遺産分割で深刻な対立が生じると、将来の法事にも悪影響が生じてしまうリスクもあると思います。
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